題名「素敵イベント物語1【卒業式編】(仮想)」
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季節は「冬」 時期は「3月16日」
登場人物
J野 まひる(ひばりの まひる)
甘露寺 麻衣(かんろじ まい)
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「まひる先輩……。ずっと見てたんです……」
後輩である彼女――甘露寺麻衣の頬は、ほんのり赤らんで見えた。
「そ、そう?」
こんなこと初めてなので、どんな回答をすればいいのか分からない。
「第2ボタン」
「え?」
「先輩の第2ボタン、ダメですか?」
咄嗟のことで、脳内には意味不明信号が流れている。
「い、いいけど。でもどうして? 別に格好良いわけでもないし……」
「先輩は……先輩は自分で思っているよりも、ずっと格好良いですっ!」
ここは体育館の下、ピロティと呼ばれる空間だったことを忘れていた。今さっき麻衣が発した言葉は、この空間内に木霊した。
「あ、ごめんなさいっ! 私なんかに言われても、全然納得できないですよね……」
「そんなことはないって。キミのおかげで自分の知らないところを気付くことができたよ。本当にありがとう」
麻衣に手を伸ばす。すると、はにかみながらも、ゆっくりと彼女も手を伸ばす。
丁度手が重なったとき、彼女は胸に飛び込んできた。
「あっ」
少しビックリした。
「ごめんめさい、先輩。でも、少しだけこのままでいさせてください」
「う、うん」
そっと、麻衣の背中に腕を回す。小柄だった彼女は、腕にすっぽりと収まった。思わず抱きしめたくなる、そんな感じだった。
「嫌……です」
「え?」
聞こえなかった、なんてことはない。聞こえてたけど、もう一度聞きたかった。
「嫌です。先輩と離れ離れになるなんて、絶対に嫌です……。一緒に、ずっと一緒に、私の傍に居てください……。お願いです……」
真っ白。今の自分にはピッタリだった。
「告白です。ダメ、ですか?」
「俺なんかで、良いの?」
訊く。とりあえず訊いてみる。
「はい。と言うより、先輩じゃなきゃ嫌ですよ……」
そう言われると、普通の告白よりも嬉しい。さっきまであまり知らなかった娘なのに、どんどん好きになっていく。そんな自分がいた。
「そう言われると、嬉しいな。こんな俺で良かったら、付き合おうよ」
胸の中の麻衣は可愛くて、抱きしめたくなるような衝動に駆られた。
「あっ」
驚いた声を上げる。
「暖かいです……。先輩、大好きです……」
「俺もだよ……」
ずっと抱き合っていた。周りの目も気にせずに。
これから彼女と歩んでいく道。それは華やかで、美しいものとなっていくだろう。そうでなくても、僕がそう恋路を歩んでいく。
ずっと、ずっと……。
題名「素敵イベント物語2【打ち上げ編】(仮想)」
――――――――――――――――――――基本設定――――――――――――――――――――
季節は「冬」 時期は「3月16日」
登場人物
J野 まひる(ひばりの まひる)
琴坂 麻耶(ことさか まや)
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「ま、まひる君。ずっと黙ってたけど、三年間……大好きだったの」
「え、えぇー!」
店内を僕の悲鳴が木霊する。他のお客さんは、僕を取り囲むように見つめる。
「だ、ダメ……?」
「琴坂さん、ちょっと待って」
深呼吸する。いつもよりも深い、そんな深呼吸。
自分を見つめる客の視線が、なんだか怖い。それもそのはず。告白してくれたのは、鷹城学校の高嶺の花。いわゆるマドンナなのだ。誰も触れてはいけない。触れられない人間だったのだ。
「な、んで? 何で俺なんか?」
高嶺の花に告白されるなんて、普通に生活している人間なら殆どありえないだろう。いや、絶対にありえないだろう。
「一年のときに、まひる君はひとりぼっちだった私を手伝ってくれたでしょ? あの日から、私は高嶺の花って呼ばれるようになったけど、でも私は嫌だったの。高嶺の花って呼ばれるようになってから、まひる君と話す機会がなくなったんだもん。だから、ずっと言えなかったの」
「そ、そうなんだ。へ、へーー」
情けない。こんな言葉しか出ない自分の口が。
「あの日からって言っても、手伝ってくれたから好きになったわけじゃないよ。それからもさり気なく、私を世話してくれてたでしょ? 分かってたんだよ。でも、恥ずかしかったから声もかけれなかったの。そんな日が続いて、まひる君に対する気持ちは積もり積もって、歯止めが効かなくなりそうになったの」
そう言って、正直嬉しい。でも、周りの友達の目が怖い。視線が痛い。
「ちょっとこっちに来て」
彼女の腕を引っ張り、店の外に出る。当然、店員にも睨まれた。
「手伝ったって、それだけでしょ? 琴坂さんの周りにはエスコートや手伝いをしてくれる男子生徒は沢山いるでしょ?」
「ダメなの。あの人たちは欲望で満ちてる目だった。でも、あなたのは優しい目だったの」
「それだけ?」
「ダメなの? それだけで人を好きになったら、ダメなの……?」
上目遣いで見てくる僕を見てくる彼女は、なんだか神秘的だった。
「そうじゃないけど……」
言葉を濁す。
「ダメだよね、私なんか。高嶺の花って嘘だもんね。ワガママでブサイクだもん」
「そんなことはないよ! ネガティブになるのは止めようよ。俺はキミが可愛い、素敵だって思ってる。心の底から。だから、俺で良かったら」
「いいの? 私なんかで」
「それはこっちのセリフだよ。琴坂さんに似合うように頑張るよ」
付き合うだけでも批判を受けそうだが、できるだけ頑張ろう。釣り合えるよう。
「……やだ。似合うようになんて、やだよ。あなたはあなたでいて。私のために無理に変わろうとなんかしないで。自然なままのあなたが好きなの」
「分かったよ。無理に変わらない。でも、琴坂さんといると、自然と変わっていきそうな気がするよ」
「えへへ。でも、苗字で呼ばれると嫌かも。麻耶って呼んで」
「了解、麻耶」
「えへへ〜」
僕らは腕を組んで、店の中に入っていく。
堂々と胸を張って。
何を言われたって構わない。でも、麻耶に付きまとう奴らは許さない。
これは、僕の彼女だ。
素敵イベントですよ。
他に何も書くことがないんですよ……。